無人機攻撃で停止した原油輸送が段階的に回復
サウジアラビアの東西石油パイプラインで修復作業が進み、原油の輸送量が日量350万バレルまで回復した。最大輸送能力は日量700万バレルで、現時点ではその50%に相当する水準となる。海外向けの原油出荷も再び始まっており、停止していた主要な輸送経路が段階的に機能を取り戻している。
パイプラインは9月10日に無人機による攻撃を受け、操業を停止していた。サウジアラビアでは復旧に向けた作業が続けられ、輸送再開に先立って設備の試験や圧力を高める作業も実施された。全面的な能力回復には時間を要するものの、原油を運ぶ機能そのものは復旧している。
最大日量700万バレルを運ぶ主要輸送網の役割
東西石油パイプラインは、サウジアラビア東部から西部の紅海沿岸まで原油を運ぶ国内横断型の輸送設備だ。最大で日量700万バレルを輸送でき、通常は約200万バレルが西岸にある製油所へ送られ、残る分が海外向け輸出に利用されていた。
今回の回復後の輸送量は日量350万バレルとなり、本来の能力には届いていない。それでも攻撃後に停止していた大規模な輸送網が再び利用可能になったことで、サウジアラビアは原油の供給経路を確保した。今後は修復を続けながら、本来の輸送能力に近づけていくことになる。
ホルムズ海峡に依存しない輸出経路が再び稼働
このパイプラインの重要性は、ホルムズ海峡を経由せずに原油を輸送できる点にある。サウジ東部から運ばれた原油を紅海側へ移し、そこから海外へ出荷することで、海峡を通過するルートとは別の輸送手段を確保できる。
ホルムズ海峡では船舶が攻撃を受ける事態も発生し、原油輸送を巡るリスクが続いている。東西石油パイプラインの停止中、サウジアラビアは海峡経由の輸送を増やし、9月の原油輸出量を日量500万バレル超まで引き上げた。これはイラン戦争開始後では最も高い水準となった。
アジア向け原油供給を支える複数ルートを確保
サウジアラビアの原油輸出はアジア向けが大半を占めている。東西石油パイプラインが再稼働したことで、ホルムズ海峡だけに依存せず、紅海側からも海外市場へ原油を送り出せる体制が再び整った。
一方、紅海側の輸送にも安全上の問題がある。サウジアラビア西部では、南西部のエネルギー関連施設や、東西石油パイプラインの終点となる港湾都市ヤンブーなどが攻撃の標的となっている。このため、東西双方の輸送経路がそれぞれ異なるリスクを抱える状態が続いている。
全面復旧に向け原油供給網の安定性が焦点に
東西石油パイプラインが日量350万バレルまで回復したことで、攻撃によって縮小していたサウジアラビアの原油輸送能力は改善した。最大能力の半分という段階ではあるものの、紅海側からの輸出が再開されたことで、原油を海外へ届ける経路は再び広がった。
全面的に能力を取り戻した場合、サウジアラビアがホルムズ海峡経由の輸送をどの程度維持するかも原油供給の構成を左右する。全面復旧には約6週間を要する可能性が示されていた。ホルムズ海峡と紅海の双方で輸送上のリスクが続く中、東西石油パイプラインの修復状況と輸送能力の回復がエネルギー市場の焦点となる。