完全子会社化で自動車機器開発を本格加速
車載機器大手のパイオニアが、台湾の自動車部品メーカーに全株式を譲渡する方針を発表した。譲渡先は台湾の液晶パネル大手イノラックスの子会社で、主に車載ディスプレーの製造を手がけている企業。これにより、運転席周辺のシステム開発を強化し、次世代の車載ソリューション企業として新たなスタートを切る。
売却額は1,636億円、年内に取引完了へ
現在パイオニアを保有している欧州系ファンドは、全株式を約1,636億円で譲渡することに合意しており、年末までに手続きが完了する見込みとなっている。この取引により、パイオニアの経営権は完全に台湾企業に移る。ハードウエアとソフトウエアの融合が進む中、資本構造の転換によって開発スピードの向上が期待される。
両社の技術を活用した一体型システムの構想
新たな親会社との協業により、ディスプレー、音響、ナビを統合した一体型システムの開発が進められる。従来の単体機器ではなく、シームレスに連携するインターフェースの構築を目指しており、自動車のユーザーエクスペリエンス向上に寄与する技術革新を促す。
音響機器メーカーからの脱皮を図る
かつては家庭用音響機器で知られたパイオニアだが、近年は業績の低迷が続き、2019年に海外ファンドに買収されていた。今回の再編により、台湾企業の支援の下、車載領域に特化した企業への転換が進むことになる。従来のブランド価値を活かしながら、新たな製品ポートフォリオの構築が急がれる。
グローバル市場での競争力強化が焦点
今回の買収は、日本と台湾の企業が協力しながらグローバルな自動車市場への対応力を強化する一環でもある。今後は、車載ソフトウエアや操作インターフェースを軸に、他のアジア市場や欧米自動車メーカーとの連携も視野に入れた展開が見込まれている。