SNSを利用した巧妙な誘導が明らかに
2025年6月、消費者庁は、解散済み企業による副業勧誘の実態を公表した。東京都新宿区の株式会社「和」は、SNSでアンケート回答に報酬が出ると称し、LINEに誘導。そこで「60日間で250万円を超える収入が得られる」としてアフィリエイト型の副業契約を結ばせていたことが判明した。
利益保証を強調した誘い文句を使用
同社は宣伝の中で、「契約以上の報酬を得られる」などと収入の確実性を強調していた。しかし実際には、こうした高収入を得た例はなく、全国から消費生活センターへの相談が相次いだ。断定的な言い回しで信用させ、経済的リスクを伴う契約へと導く構図が浮き彫りとなった。
実態なき契約で1億5000万円の被害
消費者庁の調査では、被害件数は110件、既に金銭を支払ったのは81件で、総額は1億5000万円に及ぶ。多くの契約者が消費者金融からの借金を伴って支払いに応じており、生活基盤への深刻な影響が生じている。副業収入が見込めない中での返済負担が、新たな問題となっている。
法的根拠に基づく異例の情報開示
注目すべきは、同社がすでに解散しているにもかかわらず、消費者庁が「社名・住所・代表者名」を公表した点である。これは消費者安全法に基づいた措置で、一般に向けた強い注意喚起を意図したものである。代表者には遠藤友里子氏の名が記されている。
若年層の消費者トラブルに対する警鐘
相談者の中心は20代女性で、手軽に始められる副業への関心が背景にあるとみられる。消費者庁は、若年層が詐欺的商法に巻き込まれやすい構造に危機感を示し、今後もSNS勧誘に対して継続的な監視と対策を進める方針を明らかにしている。