ビール業界に逆風、消費抑制で需要縮小続く

嶋田 拓磨
经过
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価格転嫁が販売に影響、市場が4%縮小

ビール類の国内市場が2025年上半期に4%縮小し、4年ぶりに前年同期を下回った。4月に行われた価格改定が影響し、消費者の購入頻度が減少したとみられる。ビール単体でも0.4%のマイナスに転じており、市場全体に広がる需要減退傾向が鮮明になった。

企業ごとに明暗、サントリーは減少回避

キリンは3%減、アサヒとサッポロはそれぞれ2%減という結果となり、販売不振が続いた。一方、サントリーは前年水準を維持し、一定の健闘を見せた。商品戦略や販売ルートの違いが、企業ごとの販売実績に差を生じさせたと見られる。

食品全体の値上がりが消費構造を変化

原材料費や物流コストの上昇に伴う値上げがビールだけでなく、食品全体に及んでおり、家計に対する負担が増大している。これにより、嗜好品への出費が削られる傾向が続いており、特に家庭での飲酒需要の減退が市場に影を落としている。

業界全体に広がる長期的な停滞の懸念

「ビール類」は3年連続で販売減少が続いており、単年の結果にとどまらない構造的な問題が浮上している。節約志向の継続や若年層のアルコール離れといった要素も、長期的な停滞要因として懸念される。

商品開発と価値訴求の再構築が急務

今後、ビール市場を再び成長軌道に乗せるためには、単なる価格対応に加えて、価値提案型の商品開発が求められる。健康志向や低アルコール志向など、多様な消費者ニーズに応えるラインナップが重要となる。

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