エヌビディア販売再開、米中資源戦略の転機に

浅川 涼花
经过
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米政府が販売許可の背景を説明

7月15日、米商務長官のラトニック氏は、エヌビディアがGPU「H20」の中国向け販売を再開する判断について、ビジネス上の決定にとどまらず、中国との希少資源であるレアアースをめぐる交渉に関連した措置だったと説明した。米中間では、技術製品の輸出と鉱物資源の確保が重要な交渉テーマとなっている。

エヌビディアがGPU供給の再開を発表

エヌビディアは7月14日、画像処理に特化した半導体「H20」を中国市場に再び供給すると発表した。これは2020年代以降に強化されていた輸出規制の一部緩和と見られ、戦略物資の流通における転機と位置づけられる。再開の報道を受けて、中国国内では企業による即時の発注が確認された。

資源外交としてのテクノロジー輸出

H20の再供給は、米国側がレアアース供給確保の見返りとして提示した交渉手段の一部である。米国は中国依存からの脱却を模索している一方で、中国からのレアアース輸出に依存する現実も否めない。今回の決定は、外交と経済の両面での均衡を図る試みの一つといえる。

中国企業の動きと国内供給体制

エヌビディアの発表後、複数の中国企業がH20の購入に殺到したと伝えられている。先端演算能力を求める需要が高まる中、国内供給の遅れを補う形での対応とみられる。H20の技術的特性は、AI開発や映像処理分野で広く利用されている。

株式市場が反応、業績期待が上昇

7月15日午前の米株式市場において、エヌビディアの株価は約4%上昇した。この動きは、制裁環境下でも市場の信頼を得られる柔軟な対応策として評価されたものであり、今後の技術製品取引における指針となる可能性もある。

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