観光客数が過去最高のペースで推移
2025年上半期における訪日外国人旅行者数は、前年比21%増の2,151万8,100人となり、過去最速で年間2,000万人を突破した。特に旧正月と桜の季節にかけて観光需要が高まり、中国をはじめとする東アジア諸国からの訪問者が増加した。
中国人旅行者が大幅回復 前年比5割増の勢い
国・地域別に見ると、最も多かったのは韓国(478万3,500人)で、次いで中国(471万8,300人)が続いた。中国からの訪問者は前年同期比で約50%増と急増し、航空便の回復やビザ要件の緩和が背景にあると見られている。また、ロシアやスペイン、中東地域からの来日も伸び率が高かった。
香港からの来日数が大幅に減少
日本を訪れた香港からの旅行者は大幅に減少し、前年同月比で33.4%減の16万6,800人となった。SNSを中心に「7月に大災害が日本を襲う」とする噂が広まり、観光を控える傾向が顕在化した。観光庁はこの情報を明確に否定したが、旅行者数の落ち込みには影響が残った。
消費額は最高記録も支出内容に変化
2025年4~6月期の外国人旅行者による総消費額は2兆5,250億円に達し、四半期として過去最高を更新した。しかし、1人当たりの支出額は微減(0.1%減の23万8,693円)しており、特に買い物代は横ばいだった。免税売上高も減少しており、購買傾向の変化が現れている。
政府目標に向けた成長の手応え
観光庁の村田茂樹長官は、「2030年に訪日客6,000万人、消費額15兆円」という政府の観光戦略目標について「力強い成長軌道にある」と述べた。今後は地方への誘致や戦略的プロモーションに力を入れ、安定的な成長を図る方針である。