自動車保険不正問題でネクステージに行政処分

市原 陽葵
经过
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業務改善命令発令までの問題発覚の流れ

金融庁は8月6日、中古車販売大手ネクステージに対し、保険業法に基づく業務改善命令を発表した。同社は不正な保険金請求や管理態勢の不備が指摘されており、経営責任の明確化と改善策の提出が義務付けられた。提出期限は9月8日とされ、早急な対応が求められている。

不正請求47件と調査不足が問題に

金融庁は、2024年時点でネクステージが47件の疑義事案を確認していたにも関わらず、必要な調査や顧客への対応を行わなかったと指摘した。加えて、自主調査でも重要案件が除外されていたため、実態解明の不備が行政処分の決定に直結したと説明している。

従業員不祥事や急拡大の影響が浮上

事業の急速な拡大による従業員増加の中で、顧客のクレジットカード窃盗などの不祥事やコンプライアンス違反も頻発していた。この結果、保険事業への人員配置が不足し、管理体制が追いつかない状況が続いていたとされる。金融庁は経営体制そのものに問題があると判断した。

業界全体に広がる不正と処分

自動車販売業界では旧ビッグモーターを発端に不正問題が拡大しており、トヨタモビリティ東京やグッドスピードにも行政処分が出された。さらに、FPパートナーへの同日の処分は、生命保険分野でも同様の構造的問題が存在することを示している。金融庁は業界全体の実態解明を進める方針だ。

ネクステージの対応と今後の見通し

ネクステージは「処分を厳粛に受け止める」と表明し、改善計画の策定と履行を通じて信頼回復を図る姿勢を示した。今回の事案は、自動車販売業界における保険取引の在り方に警鐘を鳴らすものであり、今後の再発防止策の実効性が問われる局面となっている。

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