インテル株取得検討で揺れる半導体産業

河本 尚真
经过
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政府が筆頭株主となる可能性が浮上

米主要メディアの報道によれば、トランプ政権はインテル株のおよそ10%を取得する方向で調整している。投資額は約100億ドルとされ、これにより政府が筆頭株主に位置づけられる異例の措置となる。国家的に半導体産業を支えることが、この動きの背景にある。

CHIPS法補助金を株式転換する案を発表

インテルは「CHIPS・科学法」に基づき、総額109億ドルの補助金を受け取る予定だ。今回の協議は、この補助金を株式に振り替えることで政府出資とする仕組みを整えることが狙いとされる。アリゾナ州やオハイオ州で進む工場建設も、この政策支援の一環として位置付けられている。

株価の急落と市場の不安が広がる

報道直後、インテル株は一時5%を超えて下落し、投資家心理の不安定さを示した。政府の介入が企業経営の弱さを露呈したと受け止められたためだ。アナリストの間では、短期的な支援効果と長期的な市場不信の両面が指摘されている。

業績不振と事業再建の行方が焦点

インテルはAI分野での後れに加え、受託生産部門の赤字に直面している。補助金と株式取得による支援で再建の余地は生まれるものの、製品開発の遅れや顧客獲得の難しさは依然として課題だ。今後の成長戦略が確立されない限り、競争力回復は容易ではないと見られている。

国家戦略と市場原理の衝突が注目点

今回の協議は、国家戦略としての産業保護と市場経済原則とのせめぎ合いを浮き彫りにした。国内供給網確保の観点からは重要だが、過度な政府介入が民間企業の自律性を損なう懸念もある。政策判断の行方は、米国の半導体産業の将来像に直結する。

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