スマホゲーム業界の転換点 渋谷区返礼品にオーブ

滝本 梨帆
经过
読了目安: 6 分

スマホゲーム業界の異例の試み

スマホゲーム市場に新たな動きが生じた。MIXIは「モンスターストライク」のゲーム内通貨「オーブ」を、渋谷区のふるさと納税返礼品として提供開始した。利用者は寄付額に応じてオーブを受け取り、ゲーム内でキャラクター入手やスタミナ回復に使える。

総務省の認定と返礼品の扱い

返礼品の認定について総務省は、MIXI本社が渋谷区にあることから「付加価値が区域内で生じている」と判断した。従来は限定アイテムなど特殊性を伴うケースが多かったが、今回は通貨としての性質が強い点で異例とされる。担当者は「ゲーム内通貨の定義をどう捉えるかが課題」と述べている。

業界縮小が背景にある事情

MIXIがこの施策を打ち出した背景には、業界全体の収益環境の悪化がある。2019年から2024年にかけて国内市場規模は縮小傾向にあり、開発費用は平均で4倍以上に膨らんだ。長期運営タイトルの維持が難しくなり、スクウェア・エニックスが「FFBE」や「星ドラ」の終了を決定するなど、かつての人気作も続々と幕を下ろしている。

ユーザー側で指摘される問題点

今回の返礼品はガチャ利用にも使えるため、浪費を助長する懸念が浮上している。インターネット上では「画期的」と評価する声がある一方で、「返礼品として適切か」と疑問を呈する意見も見られる。利用者保護と制度の整合性確保が今後の課題となる。

今後の展望と課題

渋谷区とMIXIの取り組みは、地域活性化とゲーム産業の持続性を両立させる試みとして注目される。ただし、他のアプリ内通貨やポイントサービスへ波及する可能性も否定できず、制度の在り方を問う議論を呼び起こしている。業界の苦境を背景にした今回の一手が、次なる潮流を形作るかどうかが焦点となる。

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