ベイン傘下入りで新戦略を始動
イトーヨーカ堂を含む約30社を運営するヨーク・ホールディングスは9月3日、米投資ファンドのベインキャピタル傘下に入った後初めて方針を示した。長年停滞が続いていたヨーカ堂は、食品事業を中核に据えた再建策により巻き返しを図ることになった。
食品分野に経営資源を集中する方針
石橋誠一郎社長は会見で「食品スーパー事業を明確に強化する」と述べ、食品分野に重点を置く方針を明らかにした。従来の総合スーパー型モデルからの脱却を図り、強みを持つ生鮮食品や日常消費材で競争力を磨く考えを示した。
店舗改装投資で収益力を高める狙い
ヨーカ堂は既存店の改装に積極投資し、店舗環境の刷新を通じて集客力を向上させる。時代に合った売り場づくりを進めることで顧客の定着を狙い、収益基盤の再構築につなげる計画だ。
ベインが数千億円規模の投資を示唆
ベインキャピタルの西直史パートナーは「ヨーカ堂は20年以上成長してこなかったが、ようやく芽が出始めた」と発言し、再建への期待を示した。さらに「必要があれば制約なく投資を行う」と強調し、当面の投資額は数千億円規模に達する可能性を明らかにした。
地域密着型の運営で信頼回復を図る
山本哲也社長は「この先の閉店は予定していない」と述べ、店舗を地域社会と結びつける姿勢を示した。長期的に地域住民に寄り添う経営を進めることで信頼を取り戻し、安定した顧客基盤を築くことが期待されている。