気候変動を背景にした指標改定の必要性が浮上
農林水産省は、長年使われてきた「作況指数」を廃止し、直近5年間の収量データを用いた新指標を導入する方針を明らかにした。これまでの30年平均を基準とする方式では猛暑など気候変動の影響を反映できないとして、生産者からも不満が寄せられていた。
新指標の算定方法と特徴が判明
新しい方式では、過去5年のうち最も収量が多かった年と少なかった年を除外し、残る3年分の平均値を基準とする。その年の収穫量をこの基準で割り算することで収穫動向を数値化する仕組みだ。これにより、極端な豊凶に左右されにくく、現実の状況に即した評価が可能になる。
生産現場と数値の乖離に対応する姿勢を発表
従来の作況指数は生産現場の実感と大きく乖離するケースがあり、米価高騰の要因にもなったと批判されてきた。小泉進次郎農相は6月に廃止の方針を表明し、統計委員会の部会も新指標導入を了承した。今後は「参考値」として位置付けられる予定だ。
作況指数の歴史と限界が判明
作況指数は1956年から発表され、全国約8,000カ所の水田を対象に収量を算出し、30年平均と比較する形で利用されてきた。しかし、近年の気候変動による収穫変動には対応できず、長期的な分析よりも短期的な実態を重視すべきとの声が強まっていた。
公表時期と今後の課題が注目点に
農水省は2025年収穫分から新指標を公表する見通しを示している。名称を含む詳細は今後詰められる予定であり、制度設計がどのように進むかが注目される。一方で、長期的な統計をどう補完していくかも課題となっている。