改正酒税に合わせた大規模な見直しが判明
サントリーは「第三のビール」として親しまれてきた金麦を、2026年10月から通常のビールとして販売する計画を明らかにした。酒税改正でビール・発泡酒・第三のビールの税率が一本化されることに伴い、第三のビールの価格上昇を避ける狙いがある。消費者に浸透したブランドを残しつつ、カテゴリーを変更することで競争力を維持する方針だ。
税率統一で価格競争に変化が発生
現行制度では、ビールは発泡酒や第三のビールよりも税負担が重く、消費者にとって価格の壁が存在していた。しかし改正後は税率が同水準となり、第三のビールの相対的な優位性は失われる。逆にビールは税率引き下げの恩恵を受け、手頃な価格で提供可能になる。この環境変化が「金麦」転換の直接的な要因となった。
製法変更による品質向上が発表
従来の「金麦」は発泡酒に麦由来の蒸留酒を加える製法で生産されていた。2026年10月以降は蒸留酒の使用を取りやめ、麦芽比率を50%以上に引き上げることでビールの規格に適合させる。これにより、味わいの厚みや香りが増すと見込まれ、品質面でも進化を遂げることになる。
長寿ブランドの継続が消費者に安心感を提供
「金麦」は2007年の発売以来、家庭用市場を中心に根強い人気を獲得してきた。サントリーは知名度と信頼感を背景に、カテゴリーを変更してもブランド名を維持する方針を示している。これにより消費者は従来と同じ銘柄を購入でき、移行に伴う混乱を抑える効果が期待される。
ビール市場全体に及ぶ影響が注目
新たな「金麦」は「サントリー生ビール」よりも低価格帯に設定される予定であり、既存のビール市場に大きな刺激を与える可能性がある。他社も改正後の戦略を模索しており、税制変更を契機に国内ビール市場は新たな再編局面に入るとみられる。