イオン、直営農場産の新米で価格競争に挑む

市原 陽葵
经过
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流通コスト削減で割安販売を実現

イオンは、直営農場で収穫した新米を首都圏47店舗で販売開始した。生産から販売まで自社で完結することで、中間流通費を抑えた価格設定を実現。高騰が続く米市場の中で、5キロ4298円(税込)という割安価格を打ち出した。一般的な銘柄米より1~2割安いとされ、消費者の節約志向に応える。

コシヒカリなど人気銘柄を中心に展開

販売するのは「コシヒカリ」「あきたこまち」「彩のきずな」「にじのきらめき」の4種類。いずれも埼玉県羽生市の直営農場で生産された。高温にも強い品種を取り入れ、生産安定化を図る。店舗では開店直後から多くの来店者が商品を手に取り、価格と品質の両立に注目が集まった。

生産面積を30ヘクタールに拡大

イオンは2015年からコメ栽培に着手。これまで県内数店舗での限定販売だったが、今年は作付面積を約1.5倍に拡大し約30ヘクタールに到達した。生産量は約100トンを見込み、増産に伴い販売網を広げる計画だ。自社農地の活用で輸送コストを抑え、価格競争力をさらに強化している。

安定供給と地域農業の支援を目指す

農場を運営するイオンアグリ創造の川口雅明取締役は、「コメ供給不足の解消に貢献したい」と述べた。イオンは自社生産を通じて、農業の担い手不足問題の解決や地域活性化にも取り組む姿勢を示している。生産・販売一体型モデルの確立が、企業の新たな社会的使命として注目される。

生産量倍増へ、2030年に向けた計画

イオンは2030年までに生産量を2〜3倍に増やす計画を掲げ、他の直営農場でも米作りを検討している。食料価格の上昇が続く中、企業主導の安定供給モデルとしての存在感を高める構えだ。今後は生産拡大とともに、消費者が安心して手に取れる価格と品質の両立を追求していく。

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