新制度で警察情報の共有を義務化
電動キックボードを運営するLuup(ループ)は、警察との情報連携を強化する新たな安全対策を導入する。11月7日以降、利用者はアプリ登録時に交通違反情報の提供に同意しなければ、サービスを利用できなくなる。これにより、警察が違反を確認した際に、同社へ自動的に情報が提供される仕組みが整う。
交通違反の増加が制度見直しの背景
電動キックボードの普及が進む一方で、無謀運転や信号無視などの違反行為が相次ぎ、社会問題化している。警察庁の統計によれば、2025年上半期に発生した特定小型原動機付き自転車の事故は163件で、そのうち29件が飲酒運転によるものだった。飲酒比率は一般原付きの約30倍に達しており、法令順守への意識欠如が課題とされている。
点数制度の限界と新方針の狙い
Luupは2024年1月から「交通違反点数制度」を導入し、違反内容に応じて利用停止措置を講じてきた。しかし、これまでの情報収集は自己申告や警察の同意取得時に限定され、重大な違反を見逃すケースもあった。今回の制度改定により、より網羅的かつ客観的な情報共有が可能となる。
利用者への影響と運用開始後の課題
事前同意制により、利用者は違反が自動的に会社へ通知されることを理解したうえで利用する必要がある。違反歴が蓄積すれば利用停止となるため、安全運転の意識向上が期待される。一方で、個人情報の扱いや警察との情報管理体制について、透明性の確保が求められる。
Luupの狙う「信頼される交通手段」への転換
Luupは今回の制度を通じて、「安全で社会に受け入れられるモビリティ」を目指す。交通ルールを守る利用者を増やし、信頼回復を図るとともに、他社への安全基準モデルとしても注目される動きとなりそうだ。