高精度な日本語処理を実現した新モデル
NTTは10月20日、生成AIの基盤となる自社開発の大規模言語モデル「tsuzumi(つづみ)2」を発表した。今回のモデルは、前モデルに比べて日本語理解力を高め、専門分野に特化した応用が可能になった。特に金融や医療、自治体業務など、実務レベルでの利用を想定して設計されている。NTTは「機密性の高い環境での導入に適した国産AI」を強調した。
低コスト運用を実現する省電力構造
つづみ2は1基のGPUで運用可能な設計となっており、これにより従来の大規模モデルよりもコストを10分の1から20分の1に削減。運用コストは約500万円に抑えられる。AIの大規模化に伴い増大する電力消費への対応も進め、持続可能なAI運用モデルとして注目を集めている。
パラメーター数300億で日本語特化
NTTによると、つづみ2のパラメーター数は300億に達し、英語中心の海外モデルに比べても日本語理解力と解析精度で優位に立つとされる。文脈理解や専門用語の処理能力を向上させることで、顧客対応や文書生成など業務効率化の場面で活用が期待されている。
自国開発AIの重要性を強調
東京都内で会見した島田明社長は「安全保障や産業競争力の観点から、自国開発のAIを重視する動きが高まっている」と述べた。AI技術の国際的な競争が米中を中心に激化する中、NTTは国産モデルの開発を通じて日本のAI主権を確保する方針を示した。
生成AI事業、2027年に5,000億円規模へ
NTTは2025年の受注額を1,500億円と見込み、2027年には5,000億円規模に成長させる計画を明らかにした。第2四半期には国内1,306件、海外521件の受注を獲得し、BMWなど海外企業からの引き合いも増加している。生成AI市場での存在感拡大を目指し、研究開発投資を強化する方針だ。