淡路島から広がる農業の新潮流、パソナとヤンマーが連携

浅川 涼花
经过
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異業種が手を組み、持続可能な農業モデルを構築

パソナグループとヤンマーホールディングス(HD)が22日に締結した連携協定は、農業の構造改革を見据えた新たな挑戦だ。両社は、発電と農業を両立させる「営農型太陽光発電」の導入を皮切りに、技術・経営両面から新規就農者を支援し、地域社会に根ざした持続可能な農業の実現を目指す。協定には、環境共生型の活動を推進するWell-being in Natureも加わる。

再生可能エネルギーを活かした農業革新

淡路島のパソナ農業施設では、ヤンマーHDが開発を進める太陽光発電技術を活用し、発電収益と農業経営の両立を試みる。これは、気候変動やエネルギー価格高騰に直面する農家にとって新たな収益源となりうる。さらに、施設では農業体験型宿泊プログラムを通じて、都市と農村を結ぶ新しいライフスタイルの提示も図る。

若い世代への就農支援と教育に注力

今回の協定の中心には、就農人口の拡大という社会課題がある。ヤンマーHDが提供する技術研修では、栽培管理や機械運用の知識を実践的に学ぶ機会が設けられる。一方でパソナは、経営戦略やブランドづくりの研修を担当し、農業をビジネスとして成立させるスキルを育成する。両社の知見を融合させることで、次世代の担い手を支える仕組みを構築する狙いだ。

優良農家を表彰し、地域ブランドの発信強化

2026年秋に始動予定の表彰制度では、品質分析や料理人による味覚審査を経て、部門別の賞を授与する。優れた農家を顕彰することで、生産意欲の向上とともに、地域の農産物ブランドを全国に広める意図がある。こうした取り組みは、消費者との距離を縮めると同時に、地域経済の循環にも寄与する。

「農業に関わる未来」を全国に広げる構想

会見でヤンマーHDの山本哲也COOは、「全国の人が何らかの形で農業に関わる未来を実現したい」と語った。都市部企業の社員や消費者が農業に参加する仕組みが整えば、地方と都市の関係性は大きく変わる可能性がある。両社の連携は、農業を次世代の産業基盤へと押し上げる一歩といえる。

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