米関税と半導体不足直撃 日産が赤字転落を発表

浅川 涼花
经过
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2026年3月期、2,750億円の営業赤字に

日産自動車は30日、2026年3月期の営業損益が2,750億円の赤字となる見通しを明らかにした。前年の697億円の黒字からの急転で、5年ぶりの赤字決算となる。米国による自動車関税の影響が重くのしかかり、企業収益に深刻な打撃を与えた。

売上高は12兆5,000億円から11兆7,000億円に減額

発表によると、通期の売上高見通しを11兆7,000億円へ引き下げた。米関税によるコスト上昇に加え、半導体供給網の混乱が販売計画に影響を及ぼしている。オランダの半導体企業ネクスペリアによる供給停止、さらにはアルミ工場火災による部材不足など、複数の要因が重なった。

関税率引き下げが業績改善要因に 下期は15%へ低下

パパン最高財務責任者(CFO)は会見で、下期には関税負担が約250億円軽減される見通しを示した。関税率が上期の27.5%から15%に引き下げられたことが主な理由で、追加の軽減措置も適用される見通しという。ただし、通期全体では依然として厳しい収益環境が続くとみられている。

経営再建費用の算定続く 純損益予想は未定

日産は経営再建計画に関連する費用の算定を進めており、純損益予想の公表を11月6日に延期した。再建の柱として、固定費削減や新型EVの開発効率化を進めるが、米関税と部材コストの上昇が利益回復の障害となっている。

CFO「下期黒字化を目指すが通期では困難」

パパン氏は、「フリーキャッシュフローを下期に黒字化することを目指すが、通期でのプラス転換は難しい」と述べた。半導体やアルミ供給の遅延など、外的要因が依然として業績に影響を与えている。日産は今後、調達先の多角化と生産体制の再構築を通じて、経営安定化を図る構えだ。

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