NTTドコモとWOWOW、映像事業で戦略提携 音楽・ドラマを強化

嶋田 拓磨
经过
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両社が包括的業務提携を締結し映像分野を拡大

NTTドコモとWOWOWは4日、映像コンテンツ分野での包括的な業務提携を発表した。両社は音楽ライブやオリジナルドラマの共同制作、スポーツ中継の拡充を通じ、映像事業の競争力を高める。通信市場が成熟局面を迎える中で、ドコモは動画配信サービス「Lemino(レミノ)」を軸に新たな収益基盤を強化する狙いだ。提携は2025年11月4日に正式に締結され、来年初頭から具体的なコンテンツ展開を開始する。

音楽ライブ配信を大幅に拡充、著名アーティストが登場

両社は今後、国内外の人気アーティストによる音楽ライブを共同で提供する。DREAMS COME TRUE、藤井フミヤ、MISIA、ATEEZ、BE:FIRSTなどの公演が2026年1月以降に順次配信予定だ。
WOWOWが長年培ってきたライブ制作ノウハウと、ドコモが持つアイドル系コンテンツの強みを組み合わせ、映像配信と放送の両面で展開する。ドコモの有料プラン「ドコモMAX」「ドコモ ポイ活 MAX」利用者には、ライブチケットの先行販売や限定イベントへの招待などの特典も用意される。

オリジナルドラマ共同制作で新たな視聴体験を提供

提携の柱の一つが超大作オリジナルドラマの共同制作だ。両社は第一弾として、作家北方謙三の小説を原作に俳優織田裕二が主演する「水滸伝」を制作する。この作品は2026年2月15日からLeminoとWOWOWオンデマンドで同時配信される予定。
WOWOWが高い評価を得てきたドラマ制作の実績と、ドコモの配信基盤を組み合わせ、国内外に発信力のあるコンテンツを目指す。

スポーツ中継で協業、NBAと欧州サッカーも配信

両社は音楽・ドラマに加え、スポーツ分野でも連携を深める。世界最高峰のバスケットボールリーグNBAやUEFAチャンピオンズリーグの中継権を相互提供し、LeminoとWOWOWオンデマンドで配信する。利用者は、既存契約の範囲内で追加料金なしに一部コンテンツを視聴可能となる。
この分野での協業は、WOWOWの放送網とドコモの通信網を融合させたハイブリッド配信の実現を目指すものとみられる。

ドコモ、映像戦略で利用者囲い込みを狙う

前田義晃社長は「差別化されたコンテンツこそ競争の鍵」と述べ、エンターテインメント分野への本格的な投資姿勢を強調した。
ドコモの「ドコモMAX」は6月に開始され、10月時点で契約数は150万件を突破。来年3月までに300万件の達成を目指している。
同社が同日発表した2025年9月期中間決算では、営業収益が3兆327億円(前年比1.3%増)、純利益が3398億円(同12.7%減)と増収減益だった。競争が激化する中、映像サービスを軸とした新たな成長戦略が注目される。

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