世界販売低迷、5年ぶりの中間赤字に転落
日産自動車は6日、2025年4〜9月期連結決算を公表し、純損益が2219億円の赤字に転落したと発表した。前年同期は192億円の黒字で、5年ぶりの中間赤字となる。世界的な需要減少と、トランプ米政権の自動車関税が利益を圧迫した。
売上高は5兆5786億円で前年同期比6.8%減。本業のもうけを示す営業損益は276億円の赤字(前年は329億円の黒字)に悪化した。
通期見通しは再び非公表、リストラ費用が焦点
日産は2026年3月期の通期純損益予想を再び開示しなかった。経営再建のためのリストラ費用算定が進行中で、現段階では見通せないと説明。前期は6708億円の最終赤字だった。
市場では、アナリスト16人の平均予測が2138億円の赤字となっており、厳しい収益環境が続くとみられている。
横浜本社売却で財務体質の立て直しへ
再建の一環として、横浜市にある本社ビルと土地を970億円で売却することを決定。売却益739億円を特別利益として計上する。
エスピノーサ社長は「財務的に良い決定だった」とし、「将来のリソースを確保するための選択」と述べた。今後はリース契約により本社機能を維持する。
米関税・供給網の混乱が業績を圧迫
日産は、米関税政策による営業利益ベースでの損失が1497億円に達したと明らかにした。また、オランダの半導体メーカー・ネクスペリアの出荷停止や米アルミ大手ノベリスの火災により、250億円のマイナス影響を見込む。
こうした外部要因が重なり、事業全体の収益改善が遅れている。
地域別販売、中国と日本で大幅減少
世界販売は148万台で前年同期比7.3%減。特に中国市場で17.6%減、日本で16.5%減と苦戦した。新型車投入の遅れやブランド力の低下が響いた。一方、電気自動車「N7」の販売が堅調で、中国での通期計画を64万5000台に引き上げた。
日産は北米市場での販売が微増(2%増)したことを好材料とし、通期の世界販売計画325万台を維持する方針を示した。