アスクル、法人向け通販を12月上旬に再開へ

嶋田 拓磨
经过
読了目安: 6 分

10月のサイバー攻撃で全面停止した影響

アスクルは10月19日に受けたランサムウェア攻撃により、法人向け通販サービスがほぼ停止していた。攻撃はロシア系ハッカー集団の関与が指摘され、システム障害によって物流や受注処理が滞る事態となった。これにより、「ASKUL」を利用していた多くの企業が通常の購買活動に支障をきたし、関連企業にも影響が広がった。

物流拠点の復旧と出荷拡大が進行

同社は11月中旬から物流拠点を段階的に再稼働し、まず東京と大阪の2拠点で出荷を再開した。さらに、仙台や福岡などを含む7拠点に拡大し、供給能力を順次高めている。これにより、コピー用紙やトイレットペーパーなど日常的なオフィス用品の出荷が可能となり、顧客への対応が徐々に正常化しつつある。

12月上旬の全面再開を目指す計画

アスクルは、12月上旬にも法人向けサイト「ASKUL」のサービスを全面的に再開する計画を公表した。ウェブ経由での注文受付を再開し、これまでファクス対応に限定されていた医療機関や企業からの注文体制を改善する。今月12日からは出荷対象を237品目に拡大し、本格復旧に向けた準備を整えている。

個人向け「LOHACO」は再開時期未定

法人向け再開にめどが立つ一方、個人向け通販サイト「LOHACO」の復旧時期は依然として不透明だ。アスクルは、セキュリティ対策の徹底を優先し、安全性を確認した上で段階的に再開するとしている。なお、アスクルの物流システムを利用していた他社でも販売停止の影響が続いており、復旧スケジュールは企業ごとに異なる。

サイバー攻撃対策の強化を継続

今回の被害を受け、アスクルはサイバーセキュリティ体制の再構築を進めている。社内ネットワークの再設計やデータ暗号化など、再発防止策の強化を進行中だ。企業の基幹システムを狙った攻撃が増加する中、同社は「信頼の回復を最優先に、安定したサービス提供を再構築する」としている。

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