半期業績で純利益454億円、液晶縮小が影響
シャープが発表した2025年4〜9月期の連結決算によると、純利益は前年同期比約2倍の454億円となった。赤字が続いていた液晶事業の縮小で売上高は9503億円と13%減少したものの、パソコン販売の好調と経費削減が業績を押し上げた。純利益の拡大は2018年以来の水準で、構造改革が奏功した形だ。
パソコン事業が牽引、買い替え需要が追い風
業績を支えたのは国内パソコン事業だった。米マイクロソフトの「ウィンドウズ10」サポート終了を前に買い替え需要が高まり、法人・個人の両市場で出荷が増加した。9月までの3か月間は販売が想定を上回り、利益率も改善した。シャープはこの結果を踏まえ、2025年度通期の最終利益見通しを従来比65%増の530億円に上方修正した。
経費削減と資産売却で収益体質を強化
同社は赤字が続く液晶事業の立て直しを進めており、堺工場の売却などによって固定費を削減した。これにより特別利益を計上するとともに、経費全体の圧縮が進んだ。営業利益は289億円と、前年同期比で約60倍に急増。収益基盤の強化が進んでいる。
テレビ事業は継続、付加価値戦略を強調
沖津雅浩社長はオンライン会見で、テレビ事業を継続する方針を示した。「高付加価値商品による差別化を図り、ブランド力を維持する」と述べ、価格競争からの脱却を目指す考えを強調した。今後はAI対応モデルや省エネ性能を高めた製品開発に注力する方針とみられる。
液晶事業の黒字化へ、再来年度を目標に
一方、赤字が続く液晶事業については、再来年度の最終利益黒字化を目標に掲げた。国内外での需要低迷が続く中、同社は生産体制の効率化を急ぐ。シャープは今後も経営改革を継続し、成長分野での競争力強化を図る構えだ。