小林製薬、営業益3割減 紅麹問題後の費用増が重く

市原 陽葵
经过
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広告再開と人員増が収益を圧迫

小林製薬が11日発表した2025年1〜9月期連結決算で、営業利益は前年同期比32.3%減の114億円となった。紅麹サプリメントによる健康被害を受けた影響で、一時停止していたテレビ広告を再開したほか、品質管理や安全体制の強化に伴う人材確保費用が増加した。これらのコストが収益を押し下げた格好だ。

売上高は減少も訪日需要が下支え

売上高は前年同期比2.1%減の1120億円。一方で、訪日外国人の増加によるインバウンド需要や、暑さ対策の新製品が一部業績を下支えした。国内では、通販部門での定期購入解約が続き、販売減少が顕著となった。ヘルスケア部門では広告停止の影響が残ったものの、第2四半期以降は徐々に回復基調にある。

純利益は増益、費用圧縮が寄与

営業減益にもかかわらず、純利益は前年同期比27.4%増の68億円となった。コスト削減努力や一部部門での収益改善が寄与したとみられる。経常利益は27.9%減の129億円だったが、進捗率は82.1%と過去6年平均を上回り、収益体質の安定がうかがえる。

紅麹関連損失は累計160億円に

紅麹サプリメント問題に関する損失は新たに4億円を追加計上し、累計で160億円に達した。2024年3月の自主回収発表から続く損失処理が続いており、製品安全と信頼回復の取り組みが急務となっている。

通期見通しは据え置き、再成長を模索

通期の営業利益は前年同期比43.7%減の140億円、純利益は4.3%増の105億円と据え置かれた。紅麹問題の収束を背景に、販売体制の立て直しを図る方針だ。市場予想を下回る水準だが、今後はヘルスケア以外の部門での回復が注目される。

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