銀行業務の生産性向上を目的にAI活用を発表
三菱UFJフィナンシャル・グループは11月12日、生成AIのChatGPTを運営するオープンAIとの提携を発表した。約3万5000人の行員がAIを活用して日常業務を効率化し、顧客対応の精度向上を図る。文書作成や情報分析の自動化により、業務全体の生産性を高める狙いだ。
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3年間で600億円をAI・データ領域に投資
同グループは2024年度からの3年間で、AIとデータ利活用に600億円を投資する計画を明らかにした。この資金はシステム開発、人材育成、AIを活用した新しい金融サービスの創出などに充てられる。MUFGはAIを経営基盤の中核に据え、デジタルトランスフォーメーションを一層加速させる。
顧客体験を変える「エムット」のAI対話機能
総合金融アプリ「エムット」では、ChatGPTを活用した資産運用アドバイス機能を実装する予定だ。顧客はアプリ上でAIと自然な対話を通じて、自身の家計や投資戦略を相談できる。AIが取引履歴をもとに分析を行い、利用者に最適化された提案を提供する。
OpenAIが技術支援、日本発のAI応用モデルに
会見に出席したオープンAIジャパンの長崎忠雄社長は、「新しい顧客体験の実現に向け支援できることをうれしく思う」と述べ、AIの社会実装を日本から推進する意向を示した。MUFGとOpenAIは共同で金融分野に特化したAIモデルの研究開発も進めるとみられる。
国内金融機関に広がる生成AI導入の潮流
生成AIの導入は金融機関全体に拡大しつつある。MUFGの動きは国内銀行業界のデジタル競争を一段と活性化させる契機となる可能性がある。AIの活用が、顧客サービスの高度化と人材育成の両立を実現するか注目される。