アサヒの物流障害、復旧時期と影響が明確化する見通し

河本 尚真
经过
読了目安: 7 分

システム障害の経緯と復旧方針が示されたことが判明

アサヒグループホールディングスで続いているシステム障害について、同社が関係先に対し来年2月までに物流関連機能の復旧を予定していることが明らかになった。障害は9月29日のランサムウェア攻撃を起点としており、受注や出荷業務が本来の水準で処理できない状況が続いている。同社は復旧計画を提示することで、遅延が続く取引環境の改善に向けて一定の見通しを共有した形となる。

障害発生後の受注体制が業務運営に与えた影響が判明

障害発生後、ビールや清涼飲料などの注文は通常のシステム経由では処理できず、電話やファクスによる手作業に切り替えられている。この結果、出荷量は平常時より低下し、商品ごとの供給制限が避けられない状況となった。特に年末の需要が高まる時期を控え、綱渡りの対応が求められている。従来の運用に戻るには、物流システムの段階的な再稼働が不可欠とされる。

サイバー攻撃による情報流出の可能性と調査状況を発表

今回のサイバー攻撃では個人情報が外部に漏れる可能性が指摘されており、アサヒは流出範囲や内容の特定を進めている。攻撃の手口はランサムウェアによるもので、犯行声明を出したとされるハッカー集団「Qilin」への対応も関係機関と連携して続けられている。情報管理体制への信頼回復は、復旧計画と並ぶ重要課題となっている。

他社に波及した供給面の混乱と市場への影響が判明

アサヒの障害は同社だけにとどまらず、他のビール大手でも代替注文が急増し一部商品の供給停止や出荷制限に発展している。大手メーカー間の需給バランスが崩れたことで、流通全体の調整が必要となる事態が発生した。影響の拡大が続くことによって、年末商戦に向けた在庫確保にも影響が及んでいる。

経営陣の説明と復旧見通しを示す場が27日に設けられることを発表

アサヒは27日に勝木敦志社長が初めて記者会見を開き、復旧計画や影響範囲などの詳細を説明する。同社は1〜9月期の連結決算公表を延期しており、経営への打撃がどの程度になるかが注目されている。会見によって、復旧までの工程や出荷正常化の具体的なスケジュールが示される見通しとなっている。

この記事をシェア