日本向け割当拡大の背景が判明
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)は、2026〜2028年の大西洋クロマグロの年間枠を、日本分として4,321トンに設定した。増加量は543トンで、比率にして14%の拡大となる。水産庁が11月25日に公表したもので、資源回復が確認されたことが主因とされる。刺身やすし向けの需要が高い日本市場にとって、今回の判断は供給面での安定に寄与する。
資源評価の結果に基づく判断が発表
近年、大西洋クロマグロは各国が協調して管理措置を実施してきた結果、資源状態が改善していると評価されている。産卵親魚の増加傾向や漁獲圧の抑制などが効果を示し、科学的根拠に基づく見直しが行われた。ICCATは管理に科学的分析を重視する方針を掲げており、今回はその評価手続きが反映された形となる。
東西で分かれる枠配分の詳細が判明
大西洋は東西で区分管理されており、日本の新枠は東水域で3,559トン、西水域で762トンとされた。東側はEUやアフリカ側の沿岸域が中心で漁獲量が多い地域とされている。一方、西側は北米周辺を対象としており、管理が比較的厳格だが増加率は約15%となった。区分ごとの資源状況や操業実態が今回の配分に反映された。
メバチマグロの扱いが据え置きに
会合ではクロマグロ以外の魚種も協議され、特にメバチマグロが主要議題のひとつとなった。だが、加盟国の意見がまとまらず、漁獲枠に変更は加えられなかった。メバチは広く流通する魚種であり、管理内容の見直しにはさらなる検討が必要とされるため、次回以降の協議に持ち越されることとなった。
加盟国協議の今後の予定を発表
ICCATは日本、米国、EUなど55カ国・地域で構成され、国際的な資源管理の場として機能している。今回の会合は11月17〜24日にスペインで行われ、多数の管理案件がまとめられた。次回の年次会合は2026年11月にポルトガルで実施され、クロマグロの再評価や他魚種の枠組み検討が続けられる見通しとなる。