アップルが世界首位浮上へ iPhone17伸長で競争構図が変化

小野寺 佳乃
読了目安: 9 分

出荷動向が示す市場変化が判明

2025年の世界スマートフォン市場で、アップルがサムスン電子を上回る構図が明確になりつつあることが調査結果で示された。グローバル市場での販売動向を分析するカウンターポイントは、アップルの年間出荷台数が約2億4300万台となり、サムスンの約2億3500万台を上回ると推計した。出荷数はメーカーが販売側へ供給した数量を指し、需要の基礎的な流れを把握する指標として扱われている。両社の差は大きくないものの、14年ぶりに順位が入れ替わる見通しは、業界全体の潮流を映す結果となった。

iPhone17販売拡大の背景が判明

今秋投入された「iPhone17」シリーズは、主要国を中心に堅調な販売を続けている。カウンターポイントによれば、発売後4週間の実績は日本で7%、米国で12%、中国では18%伸びたとされ、前年モデルを大きく上回った。中国市場では、買い替え需要が一段と高まり、販売増につながったと説明されている。また、米中間の摩擦が一部緩和しつつある環境により、追加的な負担が抑えられたことも、消費者心理の安定に寄与した。

新興国で広がる需要の影響

新興国では景気が持ち直し、スマートフォン購入に前向きな動きが広がった。ドル安傾向が続いたことで輸入価格が抑えられ、端末価格の上昇圧力が軽減されたことが追い風となった。とりわけアジアや中南米では、通信インフラの整備やオンラインサービスの利用増加が重なり、市場の底上げにつながった。カウンターポイントは、こうした複合的要因がアップルの世界シェア19.4%確保につながったとしている。

サムスンの伸び悩み傾向が浮上

サムスン電子は依然として高い存在感を保つものの、年間出荷増は4.6%にとどまった。折りたたみ端末を中心に製品ラインアップを強化しているが、主要地域での需要が想定ほど広がらず、シェアは18.7%と見込まれている。米国や中国市場でアップルが勢いを取り戻したことが、サムスンにとって逆風となった形だ。また、世界的な買い替え需要が一斉に発生したタイミングで、アップルの新機種投入が重なったことも差につながった。

将来モデルが市場に与える影響

調査担当者は、2026年以降に予定される新型端末が競争環境をさらに変える可能性を指摘している。折りたたみ型iPhoneの登場や新たな価格帯をカバーする「iPhone17e」の準備が進んでおり、アップルの販売拡大を後押しするとみられている。カウンターポイントは、現在の勢いが継続すれば、アップルが2029年まで首位圏を維持するとの見立てを示した。2025年の出荷動向は、その先を見据えた市場構造の変化を端的に示すものとなった。

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