1,000店舗突破が示す市場の変化
楽天グループは、ECモール「楽天市場」における海外事業者の出店数が1,000件を超えたと発表した。国内の物販系EC市場は2024年に15兆2,194億円規模へ拡大しており、越境ECの普及が成長要因の一つとされる。利用者が海外事業者と直接取引する形式は、価格面の魅力から定着しつつある。
日本市場を狙う海外事業者の動き
会員数約1億を抱える楽天市場は、日本市場への参入を目指す海外事業者にとって有力な販売基盤となっている。現在は中国、韓国、米国、EU諸国など22の国・地域からの出店が可能だ。楽天は、物流の信頼性や需要規模を重視しながら対象地域を拡大してきた。海外事業者に対しては、日本の商習慣に関する助言も行っている。
出店拡大を後押しする支援策
楽天は今後、海外事業者の出店数を従来の数倍のペースで増やす方針を示している。その一環として、2026年3月から短期集中型の売上支援プログラムを開始する。実績のある店舗が助言役となり、販売戦略や運営ノウハウを共有する仕組みを構築することで、早期の成長を促す狙いがある。
消費者保護を軸にした制度設計
越境ECでは、模倣品や配送遅延といった課題が指摘されてきた。楽天は、海外事業者からの購入であっても補償制度を適用し、1回あたり30万円を上限に補償を行う。国内事業者との取引と同様の安全性を確保することで、利用者が安心して個人輸入できる環境づくりを進めている。
競争激化が映す越境EC市場の行方
中国系ECサイトによる安値攻勢は、免税制度を背景に拡大してきた。これに対し、国内事業者との競争条件の不均衡が指摘され、政府は税制面での見直しを検討している。楽天は、支援体制と安全対策を強化することで、越境EC市場における信頼性を高め、海外事業者と国内消費者の双方にとって持続可能な市場形成を目指している。