NTT新会社、自動運転支援を集約し全国展開へ

市原 陽葵
经过
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グループ横断で自動運転事業を統合

NTTはグループ各社が進めてきた自動運転事業を集約する形で、新会社「NTTモビリティ」を設立した。発足日は2025年12月15日で、社員約20人規模から事業を開始する。これまで分散していた技術者やノウハウを集め、横断的な運行支援を可能にする体制を整えた。営業や地域調整は従来通り、東西地域会社やドコモビジネスが担う。

交通事業者を支える運行支援の中核

新会社は、自動運転車両を運行する事業者に対し、技術提供を軸とした支援を行う。地域の事情に合わせて車両や制御システムを選定し、導入後の運行管理や監視までをカバーする。実証段階にとどまらず、定常運行を見据えた支援を重視している点が特徴だ。人手不足が進む公共交通分野で、持続可能な運行体制の構築を後押しする。

実証重視で社会実装を進める計画

2028年度までは実証実験を積み重ね、社会実装に必要な技術や運用モデルを確立する。目標とするのは、自動運転レベル5段階のうち上から2番目にあたるレベル4の実現だ。人の運転操作を必要としない体制を前提に、遠隔モニタリングシステムの開発を進める。グループ全体で培った実証成果を標準化し、展開速度を高める。

IOWN活用による高度化にも挑戦

NTTモビリティは、次世代通信技術「IOWN」を活用した走行制御の高度化にも取り組む。車載機能の一部をクラウド側で処理することで、車両コストの抑制を狙う。さらに、道路側センサーと車両を連携させる路車協調技術の研究も進め、見通しの悪い交差点などでの安全性向上を図る。

2030年代に1千台支援を目標

2030年代には、自動運転車両1,000台規模の運行支援を行い、数百億円規模の事業に成長させる計画だ。山下航太社長は、自動運転を日常に溶け込むサービスにする意向を示している。競合が多い分野で、集約による効率化と規模拡大を武器に存在感を高める構えだ。

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