飲食店提供を起点とした事業始動
JR四国は愛媛県西条市で育てた陸上養殖サーモンを、2025年12月19日から飲食店向けに提供する。県内店舗に加え、高松市のホテルでも取り扱いが始まり、外食市場を通じて商品の評価を高める狙いだ。鉄道事業外での安定収益確保を見据えた取り組みとして注目されている。
「サイモン」ブランドの特徴
販売されるサーモンは「サイモン」と名付けられ、地下水を利用した養殖により臭みの少ない味わいが特長とされる。生食にも適した品質を意識し、飲食店での調理を通じて付加価値を訴求する。ブランド名の統一により、市場での認知形成を進める。
地元連携による養殖体制
養殖は西条市の地下水を活用し、県漁協や地元水産事業者と連携して実施されている。施設は13基のいけすで構成され、4月から稚魚の育成が進められてきた。地域との協力体制を構築することで、安定的な生産環境を整えている。
出荷数量と今後の供給見通し
当面の出荷数量は約700匹とされ、初期段階では供給量を抑えながら品質管理を重視する。来春以降には約4000匹の追加出荷を予定しており、段階的に市場供給を拡大する計画だ。需要動向を見極めつつ、生産規模の調整を行う。
2030年度を見据えた事業展望
JR四国は熊本県でも陸上養殖の試験的事業を進めており、複数拠点での展開を通じてノウハウを蓄積している。養殖事業全体で2030年度に売上高1億円規模を目標とし、鉄道以外の収益源として育成する考えだ。水産分野への参入は、事業ポートフォリオ多角化の象徴的な取り組みとなっている。