政策修正に慎重な姿勢が続く金融当局
日本銀行は、7月30〜31日の金融政策決定会合において、2025年度の物価見通しの修正を議題に含める方向で準備を進めている。しかし、同時に米国との通商問題による不確実性が依然として高く、政策判断への影響が避けられない情勢となっている。食料品の価格上昇が続く中で、政策対応は柔軟性と慎重さが求められている。
食品を中心としたCPIの動向が焦点に
最近の物価動向を見ると、米や加工食品がCPI上昇の主因となっており、5月時点の見通し以上の数値を記録している。コアコアCPIも当初予想された2.3%を超える勢いがあり、日銀内部では上方修正の必要性が議論されている状況だ。こうした物価の動きは、もはや軽視できない段階に達している。
米中貿易摩擦が日本経済にも波及か
米国による日本製品への25%の関税引き上げは、8月1日の発動が予定されているが、日本との協議は依然として継続中である。このため、今の段階では物価見通しを大幅に見直すことが難しく、日銀は2026年度の予測を維持する可能性がある。金融当局は状況の変化に備えて準備を整えてはいるものの、現時点では様子をうかがっている段階だ。
見通し下振れのリスクが企業に波及する可能性
仮に関税が予定通り発動されれば、企業の利益や雇用環境、賃金の動向に大きな影響が出ることが予想される。5月時点でも、2026年度の物価目標の達成が遅れると判断されており、今後の景気やインフレ率にも下方リスクがつきまとう。特に春闘における賃上げの勢いが鈍れば、個人消費への打撃は避けられないだろう。
市場の注目は会合後の声明に集中
7月の政策会合では、修正後の展望リポートとその内容を反映した声明に市場の視線が集まっている。仮に関税交渉が決裂した場合、日銀が8月以降の政策運営を見直す可能性があり、金融市場でもその展開を警戒する声が目立ち始めている。政策の微調整だけでなく、大幅な路線変更の可能性も排除できないとの見解が広がっている。