内需刺激策の効果に限界が見え始める
中国当局は経済活性化の一環として、不動産市場へのテコ入れを進めてきた。住宅購入支援策や金融緩和政策を打ち出し、内需の喚起を目指している。しかし、2025年6月の統計によれば、70都市中56都市で新築住宅価格が前月より下落しており、依然として厳しい市況が続いている。これは対象都市の約80%に相当し、前月の53都市から3都市増加した。
価格下落は大都市にも波及
価格の下落傾向は地方都市にとどまらず、首都・北京や天津、重慶、広州といった主要都市にも及んだ。中でも、これまで比較的安定していた都市でも価格が下がるケースが増えており、市場全体の縮小が顕著となっている。一方で、前月比で価格が上昇したのは14都市にとどまり、わずかな改善に留まった。
一部地域では限定的な価格上昇も
上昇が見られた都市は、上海や杭州、合肥など、新興産業が集積する地域に集中していた。これらの都市では相対的に経済活動が活発で、投資や雇用の増加が住宅需要を下支えしているとみられる。ただし、価格上昇が確認された都市数は14にとどまり、全体から見れば依然として少数派である。
中古住宅市場にさらなる下落圧力
より市場実態を反映しやすいとされる中古住宅価格も厳しい状況だ。6月は70都市中69都市で前月比の価格が下落し、これは5月の67都市からさらに2都市増えた。価格上昇が見られたのは1都市のみで、中古市場における回復の兆しはほとんど見られない。
購買意欲の低迷が不況の長期化を示唆
政府による支援にもかかわらず、庶民の住宅購入に対する慎重な姿勢は変わっていない。不動産価格の先行きに対する不透明感や将来不安が、購買意欲の回復を妨げている。このような状況が続けば、景気回復全体への影響も避けられず、不動産不況が長期化する可能性が高まっている。