設備投資促進税制の新設構想、関税リスクに対応

市原 陽葵
经过
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新制度の目的と適用範囲が判明

経済産業省は企業の設備投資を促進する新たな税制を検討している。2026年度から5年間の時限措置として実施される見通しで、投資額の一定割合を法人税額から差し引く仕組みが中心となる。対象は製造機械や工場建屋、ソフトウェア導入など多岐にわたり、業種や企業規模を問わず幅広く適用される方向が示されている。

中小企業支援の即時償却が延長へ

特に中小企業向けには「即時償却」の延長が検討されている。この仕組みにより投資額を初年度に全額経費として計上でき、資金余力を高める効果がある。これまでの特例措置は2026年度末に終了予定だったが、さらに2年間延ばすことで中小企業の投資意欲を支える狙いだ。

欧米諸国との政策競争の影響

米国では即時償却の恒久化、ドイツでは約8兆円規模の法人税減税策が成立しており、国際的な投資競争が激化している。欧米に比べて日本の取り組みが遅れると、国内投資が減速し、海外への資金流出が進む恐れがある。そのため経産省は競争力確保に向けて制度設計を急ぐ姿勢を示している。

高関税政策が国内産業に与える影響

トランプ政権による関税強化は日本企業に深刻な打撃を与えている。電気自動車を含む複数の産業では投資計画の延期が相次ぎ、国内生産基盤の弱体化が懸念される。経産省は新制度を通じて国内での事業継続を後押しし、産業基盤の維持と拡大を図る意向だ。

政治的課題と今後の行方

制度実現には税制改正をめぐる国会審議が不可欠となる。しかし与党は参院選で過半数を失い、野党との調整が避けられない状況にある。年末に本格化する議論では、国内経済の立て直しに向けた優遇策として支持を広げられるかが焦点となる。

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