長期金利上昇で国債費が過去最大規模に
財務省は2026年度の予算編成に向け、国債費を32兆3865億円に計上する方針を明らかにした。前年当初の28兆2179億円を大きく超え、過去最大額となる見込みだ。背景には、金融政策の転換や減税論争が財政への懸念を強め、長期金利の上昇を招いていることがある。
利払い負担急増で財政余力が縮小
債務の利払い費は13兆0435億円に達し、前年比で24.0%もの増加となる。元本返済に充てられる償還費も19兆3104億円に膨らみ、全体の財政を圧迫する構図が強まっている。金利は2.6%と17年ぶりの高水準で見積もられ、国債の借り換えコストも増加する見通しだ。
社会保障費と防衛費も増加傾向が判明
国債費に加え、予算の3分の1を占める社会保障費は高齢化で拡大が続き、40兆円規模に迫る見込みだ。さらに、防衛力強化に伴う経費の増加も予想され、歳出全体が膨張する方向にある。結果として、財政の柔軟性は一段と損なわれている。
政策経費の確保が困難化
物価高対策など「看板政策」への財源確保は困難さを増している。政権は選挙で掲げた現金給付策の実現に向け調整を進めているが、財源の裏付けが不透明なままとなっている。増大する国債費が優先される中、政策経費は後回しとなる可能性が高い。
財政運営の課題が年末編成で焦点に
歳入面でも、ガソリン税の暫定税率廃止による1.5兆円規模の減収をどう補うかが議論の的となっている。税収上振れの活用が模索されるが、借金返済に充てる財源まで政策に流用すれば国債増発を招く危険がある。年末にかけての予算編成は、財政健全性と政策実行力の両立が問われる局面を迎えている。