金融正常化へ、日銀が資産売却に踏み出す

嶋田 拓磨
经过
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大規模緩和で積み上がった資産を処分へ

日本銀行は9月19日、金融政策決定会合を開き、長年の緩和政策で購入してきたETFとJ-REITの売却を開始する方針を決めた。2013年からの大規模緩和で膨らんだ資産を徐々に処分し、金融政策の転換を鮮明にする狙いがある。

年間売却ペースは抑制的に設定

売却額はETFが簿価ベースで年間3300億円、J-REITは50億円に設定された。市場への影響を避けるために規模を抑え、今後の状況に応じて調整も行う。時価ではそれぞれ6200億円、55億円に相当する。

超長期計画での実施が判明

2025年3月末時点で日銀のETF保有額は簿価で約37兆円、時価で約70兆円に達している。植田総裁は「売却には100年以上を要する」と述べ、時間をかけた処理になることを明言した。過去の株式売却の知見を活用しつつ、着実に進める考えを示した。

金融市場の動揺と株価下落

売却発表を受け、日経平均株価は急落した。午前には史上最高値をつけたが、昼過ぎには一時800円超下落。終値は前日比257円安の4万5045円81銭となり、市場に冷や水を浴びせた格好となった。

金利政策は現状維持を選択

政策金利については、0.5%程度に据え置かれた。一部委員が0.75%への引き上げを提案したが、否決されたため、1月以来5会合連続で現状維持となった。米国の関税強化の影響を見極める姿勢が反映された形である。

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