ユーロ圏インフレ、9月に2.2%上昇へ加速

浅川 涼花
经过
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物価上昇率が前月から拡大した要因が判明

ユーロ圏の9月の消費者物価指数(HICP)は前年比2.2%上昇し、前月の2.0%から伸び率が拡大した。背景には、エネルギー価格の下落幅が縮小したことがある。エネルギーは0.4%のマイナスだったが、下げ幅は前月よりも大きく縮小し、全体の指数を押し上げる方向に作用した。

サービス価格が上昇し全体を押し上げ

品目別ではサービスの価格が3.2%上昇し、前月からさらに加速した。生活に密接するサービス分野での価格上昇は、物価全体の上昇傾向を強める要因となった。一方で、食品・アルコール・たばこは3.0%上昇にとどまり、前月よりも伸びが鈍化した。

コアインフレ率は横ばいの推移を維持

変動の大きいエネルギーや食品を除いたコアインフレ率は2.3%で、前月から変化はなかった。基調的な物価の動きは安定しており、短期的な加速は一時的との見方も広がっている。

ECBの政策運営に与える影響を分析

市場では今回の結果が欧州中央銀行(ECB)の金融政策に大きな影響を与えるとは見られていない。ECBは10月30日の理事会で金利を3会合連続で据え置く見通しが強まっている。インフレが再び加速したとはいえ、基調は安定しており、金融緩和に転じる可能性は低い。

利下げ観測と市場の見通しを発表

市場予想では年内に追加利下げが実施される確率はわずか10%にとどまる。さらに、2026年半ばまでの利下げ確率は30%にとどまり、短期的な金融緩和シナリオは後退している。今回の統計は、市場に安定的なインフレ環境を再確認させる結果となった。

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