子会社で数十億円規模の被害が判明
SBIホールディングスは10月2日、海外でマイニング事業を展開する子会社 「SBI Crypto」 において、同社が保有する暗号資産が外部に流出したと発表した。被害額は 2100万ドル(約30億円) に達する可能性があり、9月下旬に不正アクセスが行われたとされる。現在、正確な被害規模と原因の調査が続けられている。
攻撃手法が北朝鮮の過去事例と類似
暗号資産調査サイト「コインデスク」は、今回の不正流出が 北朝鮮による過去のサイバー攻撃と手口が酷似 していると指摘した。北朝鮮は経済制裁の回避を目的に暗号資産の窃取を繰り返してきたとされ、国際的にも警戒が強まっている。今回の事件も国家的関与の可能性が注目されている。
顧客資産に被害なしと強調
SBIホールディングスは国内で暗号資産交換業を行う2社を傘下に持つが、両社での資産流出は確認されていないと説明した。顧客から預かる資金に被害は及んでおらず、利用者の取引やサービスに影響はないとしている。被害が自社保有の資産に限定されていることを強調し、利用者の不安を抑える姿勢を示した。
業績への影響は限定的と説明
同社は今回の流出による 業績への影響は軽微 との見通しを示している。ただし、暗号資産をめぐるサイバーリスクが改めて浮き彫りとなり、金融業界全体にとっても大きな警鐘となる事案だ。特に暗号資産市場は国境を越えた攻撃の標的となりやすく、各社に一層のセキュリティ強化が求められる。
金融機関への信頼維持が課題に
今回の流出は、暗号資産業界のセキュリティ体制の不十分さを示すものとして注視されている。SBIグループは被害の全容解明と再発防止策の提示が不可欠であり、国際的な金融市場における信頼維持が今後の焦点となる。