府警警部補が知人の依頼で不正照会が発覚
大阪府警羽曳野署の草川亮央警部補(56)が、捜査手続きを装い銀行口座情報を不正に取得し、府警OBで行政書士の道沢正克容疑者(68)に伝えていたことが明らかになった。府警は22日、両名を地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕した。草川容疑者は容疑を認め、道沢容疑者は「依頼はしたがそそのかしたわけではない」と一部を否認している。
捜査関係事項照会を悪用した不正取得の手口
草川容疑者は1月下旬ごろ、道沢容疑者の要請に応じて「捜査関係事項照会書」を作成し、捜査目的を偽って金融機関に提出。特定法人や代表者の口座残高情報を入手したとされる。上司には「実際の捜査に関係する」と虚偽報告を行い、承認を得ていたという。府警はこの手口を通じて、行政書士業務に関わる不当利用があった可能性を調べている。
元同僚関係が続いた2人の経歴と背景
両容疑者は平成16年ごろ、大阪府警本部の捜査2課で知能犯事件を担当していた経歴を持つ。道沢容疑者は当時「エース」と呼ばれる存在で、退職後は行政書士として活動。被害者からの相談に応じて警察への告訴を仲介するなどしていた。草川容疑者も同時期に同課で勤務しており、道沢容疑者の退職後も連絡を取り合っていたという。
情報漏えいの端緒と府警の対応
今年初め、府警に「草川警部補が外部に情報を流している」との通報が寄せられた。監察室が調査を進める中で、照会書の不正使用が判明。國井栄次監察室長は「警察官としてあるまじき行為で言語道断。厳正に対処する」とコメントした。府警は他の事案でも不正な情報提供が行われた可能性を視野に捜査を継続している。
今後の捜査と再発防止の焦点
府警は両容疑者間で金銭の授受があったか、また過去に類似の漏えいが存在したかを重点的に調べている。警察庁は2024年、捜査関係事項照会の適正運用を全国に通達しており、今回の事件は制度の信頼性を揺るがすものと受け止められている。今後は内部統制の強化や運用手順の見直しが焦点となる見通しだ。