民間予測で6期ぶりのマイナス成長が見込まれると発表
複数の民間シンクタンクによる分析で、2025年7〜9月期の日本の実質GDPは前期比年率▲2.7%減となる見通しが示された。平均値として6四半期ぶりのマイナス成長であり、輸出と住宅投資の減少が景気を押し下げる要因とされている。米国の高関税政策の影響が広がり、輸出数量の落ち込みが顕著化している点が指摘された。
米国向け輸出の落ち込みが景気減速の主因と判明
特に自動車関連の輸出が関税負担の増加によって減少し、外需全体の寄与度はマイナスに転じた。関税開始前の駆け込み出荷の反動も加わり、7〜9月期の輸出額は大幅な減少となった。米関税政策の影響は製造業を中心に波及し、企業収益を圧迫している。輸出に依存する産業ほど調整圧力が強まっており、外需頼みの成長構造が浮き彫りとなった。
住宅投資の急減が国内景気の重荷となった影響
住宅投資は、省エネ基準義務化を控えた法改正による駆け込み需要の反動で大幅に落ち込んだ。3月に一時的な着工急増を記録した後、4月以降は着工件数が急減し、GDP上の住宅投資は大幅なマイナスに転じた。大和総研は住宅投資の反動減を主要因と指摘し、景気の不安定化を懸念している。
設備投資は勢いを欠くも、ソフトウェア分野は堅調と発表
企業の設備投資は全体的に減速傾向にある。SMBC日興証券は、これまで好調だった設備投資の勢いが鈍化し、前期比年率▲1.9%の減少を見込んでいる。三菱UFJリサーチ&コンサルティングも、企業収益の悪化と輸出環境の不透明さを背景に投資意欲が低下していると分析した。一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連のソフトウェア投資は依然として高水準を維持しており、分野によって温度差がみられる。
内需の持ち直しが今後の回復を左右する見通し
年末にかけては、インフレ率の鈍化や消費活動の安定化が内需の下支え要因となる見通しだ。外需の回復が見込みにくい中、国内市場での設備・消費の回復が景気の行方を左右する。内閣府は7〜9月期のGDP速報値を11月17日に公表する予定であり、各機関の予測がどの程度現実を反映するか注目されている。