政府、造船支援と設備投資減税を柱に経済対策強化

滝本 梨帆
经过
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成長投資と危機管理投資で「強い経済」構築へ

政府は10日、「日本成長戦略会議」の初会合を開き、経済対策に組み込む重点施策をまとめた。高市早苗首相は「強い経済」を実現するため、成長投資と危機管理投資を2本柱に据える姿勢を明確にした。議論の対象はAI、造船、半導体など17分野に及び、経済安全保障を核とする政策運営を加速させる。

国内造船業の再生支援、ロードマップ策定へ

中心施策の一つは、造船業の再生支援である。政府は「造船再生ロードマップ」を策定し、老朽化した設備の更新や人材確保を後押しする。背景には、アジア諸国との競争激化と国際海運の変化がある。ロードマップには日米連携の推進も反映され、技術交流と新造船モデルの共同研究を想定している。

設備投資に減税措置、民間の成長意欲を喚起

企業による大規模な設備投資を後押しするため、政府は減税制度の創設を検討。投資規模や対象分野に応じた税優遇を設け、産業の高度化を促す。単年度で終わらない複数年度型の予算措置を導入し、企業の長期的な投資判断を支える仕組みを構築する方針だ。これにより、官民一体の成長促進モデルを確立したい考えだ。

南鳥島でレアアース開発を加速、中国依存に対抗

会議では、中国の輸出規制を背景に南鳥島周辺海域でのレアアース生産実証を加速させる方針も確認された。政府は2026年1月の試掘を計画し、安定供給体制を国内で確立することを目指す。レアアースは電動車や半導体に欠かせない戦略資源であり、その確保は経済安全保障の中核を成す。

来年夏に成長戦略策定、前倒し実施も検討

成長戦略会議は、来年夏をめどに17分野の戦略計画を策定する予定だ。高市政権は緊急性の高い施策を経済対策に反映させる構えで、今後も有識者や産業界との協議を重ねる。エネルギー政策やGX(グリーントランスフォーメーション)推進策も並行して進められ、日本経済の持続的成長に向けた道筋を明確にしつつある。

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