中国10月物価が4カ月ぶり上昇、デフレ懸念なお残る

河本 尚真
经过
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CPIが0.2%上昇、4カ月ぶりのプラスに転換

中国国家統計局が9日に発表した10月の物価統計で、消費者物価指数(CPI)が前年同月比0.2%上昇した。4カ月ぶりのプラスとなり、政府が進める供給側改革が一部で成果を見せ始めた。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは1.2%上昇し、9月の1.0%から加速した。

食品価格は依然として軟調で、前年比で2.9%下落したが、前月の4.4%下落からは改善が見られた。物価全体では、緩やかな回復基調が確認された。

生産者物価の下落幅が縮小、供給抑制策が奏功

同時に発表された生産者物価指数(PPI)は2.1%下落し、9月の2.3%から下落幅が縮小した。マイナスは2022年10月以来37カ月連続だが、政府の生産能力管理が効果を上げたとされる。
統計局によると、石炭採掘や太陽光発電設備、電池、自動車などの分野で価格下落が緩和されたことが全体を押し上げた。

政府の過剰生産抑制策が進展

中国政府は、過剰生産能力と企業間競争の激化を抑える政策を強化しており、これが物価安定化に寄与している。生産抑制や輸出の下支えによって、企業の価格設定が安定しつつある。一方で、消費の伸び悩みや不動産市場の低迷が内需を圧迫し、持続的な上昇には至っていない。

エコノミスト「需要喚起策が鍵」

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシュー・ティエンチェン氏は、「供給サイドの政策が一定の成果を上げているが、今後のインフレは需要面の強化次第だ」と分析する。
他の専門家も、「デフレからの完全な脱却には数カ月のデータ検証が必要」として、早期の結論を避ける姿勢を示している。

政策当局の対応、慎重姿勢続く

中国人民銀行は、指標金利である最優遇貸出金利(LPR)を5カ月連続で据え置き、大規模な金融緩和を見送っている。米中貿易摩擦の緩和で輸出が底堅いことが背景にあるが、国内消費の停滞が長引けば、追加の刺激策導入が迫られる可能性がある。

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