国民民主党、財政目標見直しを提唱 成長主導型経済を強調

嶋田 拓磨
经过
読了目安: 7 分

2035年にGDP1000兆円達成を掲げる方針

国民民主党は、日本経済の持続的成長を目指す包括的な経済対策をまとめ、2035年に名目GDPを1,000兆円へ引き上げるという中長期目標を示した。党の発表によれば、この方針は「増税に依存しない税収増」を基軸とし、経済成長を通じて国の財源を確保する戦略に基づく。玉木雄一郎代表は11月12日、高市早苗首相に対し正式に提言を提出した。

税制と所得構造改革を重点項目に設定

提言の柱となるのが、所得税の課税基準となる「年収の壁」の引き上げである。上限を178万円に変更することで、労働参加を促進し、手取りの増加を実現する狙いだ。また、消費刺激策として消費税の一律5%への引き下げを一時的に実施する案を明記した。これらの措置は、家計負担を軽減し、国内需要の下支えを図るものとされる。

財政規律より成長重視へ転換

党は、政府の財政健全化方針であるプライマリーバランス黒字化目標について「短期的な達成に固執すべきではない」との立場を明確にした。玉木氏は記者会見で「数年単位で成果を確認すべき」と述べ、景気回復を優先する柔軟な運用を提案。高市首相も同様に段階的な達成を支持しており、両者の方向性が一致した形となった。

外国人政策やエネルギー費対策も盛り込む

経済提案では、外国人の土地取引規制、旅行者への免税制度の見直し、出国税の課税範囲拡大など、国益保護を重視した政策も含まれている。さらに、再生可能エネルギー賦課金の徴収停止を通じて電気料金負担を軽減するよう求めた。安全保障関連では、スパイ防止法の制定を新たに提起している。

与野党の政策接近と今後の展望

国民民主党の提言は、高市政権が進める経済政策の方向性と一部で重なっており、今後の協議次第では与野党間の協調が進む可能性がある。経済回復を最優先とする国民民主の姿勢は、財政規律を優先してきた従来の枠組みに対する新たなアプローチとして注目を集めている。

この記事をシェア