和歌山市が用途拡大型商品券で物価高対応策を発表

小野寺 佳乃
読了目安: 6 分

支援内容をめぐる市の判断

和歌山市は、全住民を対象に1人6,000円分の地域商品券を提供する措置を打ち出した。市は追加の手続きを求めず、2026年3月に各世帯へ郵送する方式を採用する。支援を迅速に届ける狙いがあり、生活費の負担が増す状況を踏まえた施策として位置づけられている。市は発送体制の確保とともに、市民の受け取りが確実となるよう事務手続きを進める。

利用範囲の広さを重視した設計

この商品券は市内の登録店舗で利用できる形式で、小売店や飲食店だけでなく、交通系サービスなど幅広い業種が対象となる。市は利用可能店舗を順次公表し、住民が選択しやすい環境を整えるとしている。特定の品目に限定しないことで、家庭ごとの事情に合わせた使途が可能となり、支援としての柔軟性が高い点が特徴である。

政府制度との差異をめぐる背景

政府の物価高対策では「おこめ券」が例示されていたが、市は用途の限定性を避け、地域全体に効果をもたらす形式を選んだ。市の説明によれば、より多様な事業者が支援の恩恵を受けられる点、さらに事務経費が抑制できる点を総合して判断したという。市長は会見で、自由度の高い仕組みが住民の実情に適うと述べ、市としての姿勢を示した。

事業費と財源構成

今回の対策の財源としては、国の臨時交付金23億3,700万円が主となり、市は追加で5,500万円を計上する。市議会には関連の補正予算案が提出され、今後の審議を経て正式に実施へ進む見通しである。事業費の多くは国費で賄われるものの、市も独自財源を充てることで事業規模を確保している。

今後の運用と地域への波及

市は商品券の使用期限を2026年9月頃までとする方向で調整しており、住民は一定期間の中で計画的に利用できる。地域内での消費を促すことで、店舗の売り上げ増加や商業活動の活性化にもつながる。市は引き続き周知を進め、制度の実効性を高める取り組みを続けるとしている。

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