政府与党が延長を検討する背景
住宅ローン減税の期限が迫るなか、政府・与党は制度を5年間続ける方向で調整を始めた。住宅価格が上がり続ける現在の市場環境では、負担軽減策を継続する必要性が高まっていると判断されたためである。延長案は税制改正の主要議題となり、関係部門での詰めが本格的に進められている。
中古住宅の負担軽減策を強化する議論
中古住宅の購入者向け支援を厚くすることが今回の検討の中心となっている。現行の借入上限は2,000万〜3,000万円だが、価格上昇の影響で実態に合わないとの指摘があり、より高い水準への見直し案が提示されている。中古市場の取引量が増えていることから、制度の改善が市場全体の安定につながると見られている。
新築への優遇枠との差を縮める調整
新築住宅では、環境性能に応じて最大5,000万円まで控除対象とされ、最長13年間の適用が続く。中古住宅との差が大きいことは、制度利用者の取りやすさに影響してきた。今回の見直しでは、中古住宅の支援水準を引き上げることで、取得環境の均衡を図る形が検討されている。
小規模住宅を想定した面積要件の改定案
制度の対象基準となる住居面積について、現行の50㎡から40㎡程度へ引き下げる案が検討中である。単身者や少人数世帯の増加が続く中で、利用しやすい制度とするための調整である。都市部の狭小住宅に対応する制度となることで、利用可能な層が広がることが期待されている。
年内取りまとめに向けた最終調整
今後、与党は2026年度税制改正大綱を年末に作成し、そこに今回の内容を盛り込む方針である。延長期間や中古住宅での優遇措置拡大の具体案など、制度設計は引き続き協議される。住宅購入支援の枠組みがどのように再構築されるかが、政策面での注目点となる。