投資家心理を押し上げた要因が判明
9日の東京市場では、日経平均株価が取引中に初めて4万4000円台へ到達した。石破茂首相の退陣発表による財政拡大への思惑や、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が投資家心理を後押しした。特に、自民党総裁選候補に名を挙げられる高市早苗氏の積極財政姿勢が意識され、株価上昇に拍車をかけた。
半導体関連株が上昇を主導した動き
相場上昇の中心となったのはアドバンテストをはじめとする半導体関連株で、上場来高値を更新する銘柄も出た。前日の米株式市場ではナスダック総合株価指数が最高値を記録しており、その流れが東京市場にも波及した。海外投資家による先物買いが加わり、午前中は日経平均の上げ幅が500円超に達する場面もあった。
円高進行と長期金利上昇の影響
一方で午後にかけては円高基調が進み、ドル円は146円台後半まで円高が進行。これが輸出関連銘柄の重荷となった。また、国内金利は超長期を中心に上昇傾向を強め、生命保険会社による国債買い入れが減少したことも背景にある。こうした要因が利益確定売りを誘発し、相場は下落に転じた。
高市トレードの持続性に疑問符
市場では「高市トレード」と呼ばれる現象が再び注目を集めたが、前回同様の円安や金利低下は見られず、持続性に懸念が残る。ソニーフィナンシャルグループの渡辺浩志氏は「物価上昇率が3%超の状況下で景気刺激策を続けるのは難しい」と述べ、株価上昇にブレーキがかかる可能性を指摘した。
今後の市場展望をめぐる見方
三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之氏は「来週のFOMCや自民党総裁選の公約次第では、終値ベースでの最高値更新も視野に入る」とコメントした。株価上昇の勢いと円高・金利上昇の圧力が交錯する中、東京市場は短期的に不安定な展開が続く見通しだ。