投資ファンドEQTが進めるフジテック非公開化の全体像

河本 尚真
经过
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手続き完了に伴うTOB開始日繰り上げの背景が判明

欧州系ファンド EQT がフジテックへの公開買い付けを 11月14日 に始動させる。関連する許認可がそろったことで、当初の2026年1月下旬開始見込みを前倒しした形となる。非公開化を目的とした大型取引の実施時期が早まり、具体的な実施段階へ移行した。

買い付け条件に示される評価額と資金規模の特徴

買い付け価格は 1株5700円、総額は 約4千億円 と設定されている。13日の終値 5686円 とほぼ同水準で、既存株主への提示条件として明確な基準が示された。一定のプレミアムを伴う形での提示となり、非公開化に向けた実行力を示す数値といえる。

経営側の賛同表明が示唆する運営体制の再整備

フジテックはTOBへの賛同を再度示し、EQTのもとで事業を再構築する姿勢を固めた。買収後の管理体制の整備を重視し、継続的な混乱解消と成長の基盤づくりを目指す方向性が確認されている。上場廃止後の経営判断の自由度も考慮された動きといえる。

ガバナンス問題の長期化が企業運営に及ぼした影響

同社では、創業家と大株主の オアシス・マネジメント の対立が続き、統治面の不安定さが経営課題として残っていた。この構図は社内外に影響を及ぼし、意思決定の一貫性が問われる場面も生じていた。非公開化が実現すれば、統治体制の再編が焦点となる。

上場廃止後の再構築に向けた課題と注目点が浮上

買収が完了した場合、フジテックは上場を外れる。市場の影響を受けにくい環境で事業再編を進められる利点がある一方、統治混乱の沈静化が重要課題となる。ファンド主導の体制で安定的な運営を確立できるかが、今後の最重要ポイントといえる。

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