子ども支援NISA創設を巡る提案が提示された状況

小野寺 佳乃
読了目安: 7 分

NISA改善に向けた議連の提案内容が明らかになった

自民党の「資産運用立国議員連盟」は11月20日、少額投資非課税制度(NISA)に関する見直し案を取りまとめ、高市首相へ文書として提出した。今回の提案は、現行制度の利用範囲が限定されている点を改善し、幅広い世代が安定した資産形成を行えるよう制度全体を拡充する狙いがある。議連は、金融資産の形成を促進することが経済活動の活性化にもつながると位置づけ、制度改革の必要性を訴えた。

つみたて投資枠の年齢制限見直し案が示された

議連は、NISAの中でも恒常的な利用が多い「つみたて投資枠」について、現在の18歳以上という年齢条件を取り払うよう求めた。提案には、新たに「子ども支援NISA」を設置する構想が含まれ、未成年からの長期的な資産形成を後押しする仕組みを示している。若年層の早期投資が社会全体の資産形成力を引き上げると考えられ、議連は制度の柔軟化が必要と判断した。

高齢世代向け金融商品の追加が検討対象となった

見直し項目には、高齢層の運用ニーズに合わせた商品拡大も盛り込まれた。具体的には、国債を多く組み込む投資信託を投資対象に加えるよう求めており、年齢に応じたリスク管理がより容易になるとされた。一定期間ごとに利益を取り崩せる仕組みの導入も要望され、年金収入に加えて安定した資金を確保したい層への対応が検討されている。

非課税枠上限後の再投資条件を巡る調整案が浮上

議連は、投資枠の上限に到達した利用者が商品を入れ替える際の不便さにも着目した。現在は売却後の再投資に制約があるが、年間投資枠の範囲内で再び投資できるようにすることを求めている。制度改正により、利用者が市場状況に応じた運用変更を行いやすくなるとされ、長期保有を前提としたNISAの利便性向上が狙いとされている。

提案の扱いを巡る年末税制議論の動向が注目される

提案書の提出にあたり、議連会長の岸田文雄元首相は、高市首相が内容に前向きな姿勢を示したと明らかにした。議連は今年春にも同様の要望を行っており、今回の提案は再度の申し入れとなる。制度改革の可否や具体的な適用範囲は、年末に予定される与党税制調査会などで協議される見通しで、今後の調整状況が注視されている。

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