雇用統計修正が金融政策見通しを変化させる
米労働省が発表した年次改定で、雇用者数が91万1,000人少なかったことが示され、労働市場の減速が鮮明になった。この発表を受け、投資家の間ではFRBが利下げを実施する可能性が高まったとする見方が強まっている。CMEのデータによれば、市場は25bp利下げを織り込み済みであり、50bpの確率も約10%とされた。
米株式市場は続伸し主要指数が最高値
株式市場では、ダウ平均が196ドル高となったほか、S&P500とナスダックも最高値を更新した。投資家の買い意欲は強く、利下げ期待が株価を押し上げる要因となった。
銘柄ごとの上昇が市場全体をけん引
取引の中で特に注目を集めたのは、ユナイテッドヘルスの9%高であり、医療保険事業に関する見通し改善が株価を押し上げた。また、スーパー・マイクロ・コンピューターが7%高、コインベースが5%高となり、AIや暗号資産分野の銘柄が相場を活性化させた。
商品市場では金と原油が上昇
ニューヨーク商品取引所では、金先物が3営業日続伸し3,710ドル近辺まで上昇した。利下げ期待が利子を生まない資産である金の魅力を高めたためだ。さらに、原油先物も中東情勢や対ロ制裁強化への警戒感から上昇を続けた。
今後の焦点はPPIとCPIの発表
市場の注目は10日の卸売物価指数(PPI)と11日の消費者物価指数(CPI)に集まっている。これらの結果はFRBが次回会合で利下げ幅を0.25%にとどめるか、0.5%に拡大するかの判断材料となる。金融市場全体が発表を前に緊張感を高めている。