国内株が急落、金利急伸と財政不透明感で全面安に

市原 陽葵
经过
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市場全体で売りが強まり株価下落が加速した状況が判明

18日の東京株式市場では、投資家のリスク回避姿勢が鮮明となり、幅広い銘柄で売りが強まった。日経平均株価は取引を通じて下押し基調が続き、節目とされる5万円を大きく下回って取引を終えた。終値は4万8,702円で、前日比3%を超える下落率となった。前日の米国市場で主要株価指数がそろって値下がりしたことが、国内市場にも直接的に影響した。特に半導体やAI関連企業の動向が注目される中、利益確定の売りが膨らんだ。

米国発のリスク要因が東京市場に波及した影響

米国ではNYダウが大幅に下落し、米エヌビディアの決算や雇用統計の発表を控えた不透明感が広がった。これにより米国のテクノロジー株が売られ、その流れが日本市場にも持ち込まれた。東京市場では半導体関連や機械、情報通信分野で売りが目立ち、日中を通じて指数の重荷となった。投資家の間では米国の利下げ期待が後退したとの見方が強まり、短期的なポジション調整が加速した。こうした背景から、日本株全体に弱含みの流れが広がった。

財政支出拡大への懸念が金利上昇につながった状況を発表

日本国債市場では、補正予算の規模を巡る不確実性が意識され、超長期債を中心に売りが優勢となった。新発40年債の利回りは過去最高を更新し、新発20年債も20年以上ぶりの水準まで上昇した。新発10年債も1.7%台半ばとなり、長期金利の上昇が株式市場の圧迫要因となった。市場では、財政運営への懸念が広がり、金融株や保険株など金利の影響を受けやすい銘柄にも売りが強まった。投資家の間では、政策の方向性を見極めたいとの空気が強まった。

円安進行が株価押し上げにつながらなかった背景の影響

為替市場では円が155円台まで売られ、対ドルで約9カ月ぶりの安値を付けた。一時155円38銭まで下落し、ユーロに対しても180円台を付ける場面があった。一般的に円安は輸出企業の収益改善につながるとされるが、今回は株価の下支えにはならなかった。市場では輸入価格の上昇による消費減退が意識され、円安メリットよりも経済全体への影響が重視された。片山財務相が円の動きを「急激で一方的」と述べたことも市場の注目を集めた。

業種全面安が示した国内投資環境の厳しさが判明

東証33業種はすべて下落となり、非鉄金属、電気機器、機械など製造業関連の下げが特に大きかった。ソフトバンクグループやフジクラ、レーザーテックなど売買代金上位の銘柄が軒並み売られ、指数の重荷となった。一方、鉄道や小売など防御的とされる業種では一定の底堅さがみられたものの、全体の流れを変える力は限られた。個別銘柄ではキオクシアホールディングスが大きく売られ、市場全体の弱さが改めて浮き彫りとなった。投資家の間では、複数の悪材料が重なった相場環境への警戒感が広がっている。

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