FRB高官発言で市場心理が急速に変化した状況が判明
21日のニューヨーク金融市場では、FRBの要人発言をきっかけとして、12月に政策金利が引き下げられるとの見方が急速に強まり、株式・債券・為替の各市場で大きな値動きが生じた。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が講演で現在の政策スタンスに余裕があるとの認識を示したことが投資家の判断に影響し、利下げへの期待が一気に強まった。従来は据え置きの可能性が優勢だったが、市場では利下げ転換がより現実的な選択肢として受け止められた。
株式市場でダウが大幅上昇し主要指数も買い優勢が拡大
株式市場では買い注文が広がり、ダウ平均株価は前日比で493ドル高の4万6245ドル41セントとなった。取引時間中には800ドルを超える上げ幅を記録し、FRBの方針に関する予想が値動きの中心となった。ナスダックも上昇し、ハイテク銘柄の買いが優勢となった。特にアルファベットは生成AI分野の新モデル発表が材料視され、関連企業の株価を押し上げた。他の大型IT企業も同様に上昇し、市場全体に広がる金利低下への期待が株価を支える動きとなった。
債券市場で利回りが低下し3週間ぶりの水準に到達した影響
米国債市場では利回りが低下し、短期・長期ともに3週間ぶりの水準となった。失業率が4.4%に上昇したことも金利の低下に寄与し、労働市場の変化がFRBの政策判断に影響する構図が改めて示された。金利先物市場では、12月の利下げ確率が前日の約39%から70%前後へと上昇し、投資家の見通しが短時間で大きく変化した。複数のFRB高官が金融政策を巡る意見を示したことが国債利回りの動向を左右し、発言内容の重要性を浮き彫りにした。
円相場が政府要人発言で急反発し主要通貨に対する動向が変化
為替市場では、片山さつき財務相が会見で円安への対応姿勢について言及したことを受け、円が急伸した。前日に10か月ぶりの安値を付けていたが、円は対ドルで0.6%超上昇し156円台半ばまで反発した。円は対ユーロでも0.8%近く上昇し、1999年のユーロ導入以来の水準付近から持ち直した。政府の姿勢に対する市場の反応が明確に表れた形となり、為替相場での値動きが他の資産市場にも影響した。
商品市場で金が反発し原油が下落する動きが確認された状況
商品市場では金先物が上昇し、利下げ観測の強まりが金価格を押し上げた。一方、原油先物はウクライナ情勢を巡る停戦協議の報道を背景に下落し、WTIは1バレルあたり58ドルを割り込む水準となった。ビットコインは反対に下落し、7か月ぶりの安値を付けるなど、リスク資産全体で値動きに差が見られた。各市場での動きが金融政策を巡る見通しと密接に関連し、21日の取引は政策期待の変動が影響したことが浮き彫りとなった。