支出傾向の変化が示された動向
10月の全国スーパー販売額が、前年同月を上回る結果となったことが明らかになった。日本チェーンストア協会のまとめによれば、既存店ベースで販売額が2%増となり、8カ月続けて前年実績を超えた。食品メーカーによる価格改定が相次ぎ、店頭の販売価格が押し上げられたことが主因となった。販売金額は増えたものの、数量ベースでは節約傾向が続いており、購入点数は引き続き減少している。
食料品の動向が示す購入行動の変化
食料品は前年同月比で1.5%の増加となったが、すべての品目が伸びたわけではない。牛肉は豚肉や鶏肉より割高な価格帯であるため、購買が鈍る様子が確認された。また、コメの価格が上がった影響で、総菜売り場のすしも値上がりし、消費者の手が遠のいたとされる。店頭価格の変動が家庭の献立選択にも影響を及ぼし、購入の優先順位にも変化が生じている。
農産品などの一部で弱含みが確認
農産品や水産品は前年と比較して減少した。農産品は1.5%、水産品は1%の減少とされ、価格上昇が販売数量に影響したとみられる。天候要因や供給状況によって卸価格が上下しやすい分野であるものの、今回は消費者の買い控えが数字に反映された格好だ。品質や鮮度に左右されやすいカテゴリーであっても、価格が一定以上になると需要が押し下げられる実態が示された。
生活関連品の販売減が続いた背景
生活必需品の販売は1.8%の減少となった。シャンプーやボディソープなどでは、値引き期間にまとめて購入する動きが強まり、通常時の需要が細った。特売への依存が高まり、月間ベースでの販売額に影響が及んだかたちだ。また、衣料品の伸びも鈍く、紳士・婦人衣類は前月からのマイナスが続いた。日常的な消費分野では、節約志向が幅広く浸透している。
今後の小売市場に表れた傾向の影響
店頭価格の上昇と節約志向の組み合わせにより、販売金額は増加しつつも数量が減る構図が続いている。消費者は単価の高い品目を避け、必要最低限の購入を優先する傾向を強めている。スーパー各社にとっては、価格改定による販売金額の積み増しが続く一方で、数量の減り方が今後の収益構造に影響を与える可能性もある。現状の傾向が継続すれば、小売各社の販売戦略にも調整が求められる局面となる。